採用活動を進める際に欠かせないのが「採用計画」です。
コロナ禍の影響もあって、新卒人材のエンゲージメント低下や早期離職に悩む企業は珍しくありません。新卒採用が以前より困難になり、計画性が重要だと感じている方もいるのではないでしょうか。
採用計画の重要性や計画立案のプロセス、新卒採用の失敗を防ぐポイントを知ることで、採用課題解決に向けた具体的な取り組みを検討できます。
動画活用によるソリューションにも目を向け、新卒採用のネックを解消しましょう。そこでこの記事では、採用計画に必要な調査・分析と計画立案の具体的な手順、動画活用の効果についてご紹介します。
目次
採用計画とは
採用計画とは、採用活動を行う上で指標となる存在です。「なぜ・いつまでに・どのポジションで・どのような人材を・どのように確保するのか」といった採用活動を進める際に必要な内容を決めていきます。
新卒採用のスケジュール
2021年以降、新卒採用の就活は大きく変わりました。以前は「就活ルール」として、説明会や面接、内定などの採用活動を開始する時期が制限されていました。しかし、ルールが廃止されたことにより、企業は自由なタイミングで採用活動を行えるように。早い段階から優秀な学生を採用することが可能になりました。
ただし、23卒の就活においては以下のスケジュールが名残として残っています。
・広報活動:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
・選考活動:卒業・修了年度の6月1日以降
・内定出し:卒業・修了年度の10月1日以降
もちろん、就活ルール自体は廃止されたため、必ずしもスケジュールに沿って進める必要はありません。
各企業が自由に採用活動を行えるようになったことで、あらかじめ採用計画を立てて進めることがより重要になりました。「いつまでに・どんな学生に入社してほしいか」「そのためにはいつごろから働きかけるべきか」などきちんと設定しておきましょう。
新卒の採用計画が必要なワケ
採用計画は、企業の経営方針や事業計画をふまえて作成します。企業の方針によって、募集人数や必要な人材が変わったりするためです。
人事担当者は採用した人材に対し、人事配置を行います。自社の状況に沿った計画になっていないと、採用した社員とミスマッチが起きたり、事業がうまくいかなくなったりする恐れがあります。
また、採用計画は短期的な視点だけで取り組むべきではありません。「新規事業の営業メンバーが必要だ」として、営業に向いている学生ばかり採用した結果、中長期的に見た際に不利益を被る場合があります。あくまでも、中長期的な視点から考えて作成することが肝心です。
新卒採用計画の立て方
新卒の採用計画を立てる際、まず以下の点を調査・分析します。
・自社に必要な要員の質・量
・採用市場の動向や新卒人材の意識
・競合と比較した、新卒人材にとっての自社の魅力
・過去の採用活動から見える採用課題
要員調査
要員調査とは「自社がなぜ・どのような人材を求めるのか」を自社のニーズに基づいて調査することです。要員調査の結果に基づき、事業運営やコストを加味して必要な要員の質・量を導きます。
人材を必要とするから採用活動を行うので、要員調査は採用計画の基本です。要因調査のアプローチは以下の2種類に分かれます。
・職場ごとの要員ニーズ:欠員補充のためか、定型的業務対応・高負荷業務対応の人材を求めるのか、または高度技術者を求めるのかといったニーズ
・企業としての要員ニーズ:新規事業参入・グローバル展開・多角化展開のためか、年齢別人員構成比の是正のためかといったニーズ
採用市場の動向チェック
要員調査に基づき要員計画を立てても、求める人材が得られるかどうかは採用市場動向に左右されます。採用活動は他社も実施しており、新卒人材は複数の企業に応募するのが一般的です。
適切なアプローチを考え、同じような要員を求める企業との競争に勝たなければ、求める人材は得られません。採用市場の動向に関してチェックしたいのは以下のポイントです。
・求人倍率
・競合他社の調査・分析
・求人情報サイトやシンクタンクのレポート
・仕事内容や労働条件などから見た競合の調査・分析
新卒人材の意識調査
新卒人材への適切なアプローチを考えるには、新卒人材の意識調査が不可欠です。採用に応募するのは新卒人材の自発的な選択なので、企業の視点だけで考えていても競争相手には勝てません。新卒人材の意識を把握するためにチェックしたいのは以下のポイントです。
・「新卒人材は何を考え、企業に何を求めているのか」を検討
・求人情報サイトやシンクタンクのレポート
・自社の若手社員からヒアリング
自社の魅力を分析
大企業に比べて中小企業は年収・残業・福利厚生など、労働条件の面で魅力をアピールしにくい傾向があります。社内の雰囲気や独自制度など、自社の魅力を洗い出すことが大切です。自社の魅力は採用力と言い換えることもできます。魅力を考える観点は以下の2点です。
・競争相手と比較した魅力
・新卒人材にとっての魅力
過去の採用活動の振り返り
毎年ベストな採用活動ができている企業は稀です。多くの企業は何らかの採用課題を抱えています。採用計画に基づいて今後の採用活動を調整しますが、調整しなくても問題のない工程があるかもしれませんし、全ての工程を調整するのもハイリスクです。そこで過去の採用活動を振り返り、自社の採用課題を分析します。
振り返りの観点は主に「採用実績」「採用活動スケジュール」「採用体制」「採用経費(費用対効果)」の4点です。それぞれの観点から要素分解・数値化して分析し、重点的にアプローチすべきポイントを明らかにしましょう。
新卒採用計画を立てる4つのプロセス
要因調査から過去の採用活動の振り返りまで調査・分析を進めたら、具体的な年間採用活動計画を立てます。計画立案のプロセスは以下の4段階です。それぞれのプロセスの内容やポイントを解説します。
採用方針の決定
まずは競合他社や自社の分析、要員計画に基づき、実現可能な目標採用数やアプローチの方針を決めます。具体的な年間採用活動計画を立てるための基礎として、採用活動の考え方や目的を定めるプロセスです。
複数の部署・ポジションで採用活動を進めるなら、採用ターゲット別に目標採用数やアプローチの方針を決めることが求められます。広告費や採用単価など、ターゲットごとにかけられる予算も計画しましょう。
採用基準の明確化
人事担当者は経営方針・事業計画に基づいた目標を立てがちですが、目標採用数にフォーカスすると「数合わせ」の採用になりかねません。現場のニーズもヒアリングし、人材に求めるスキルや資質も詳細に把握しましょう。
ただし、現場のニーズは即戦力人材を求めがちです。採用基準を上げ過ぎると将来有望な人材を取りこぼす恐れもあります。ここで人材に求める条件を「MUST」と「WANT」に分けるのがポイントです。
・MUST条件:「必須」の条件
・WANT条件:「あるとなお可」の条件
人事・現場のニーズをすり合わせ、MUSTではない条件はWANTとし、条件をスリム化することが大切です。
<h3>求人メディア・採用ツールの選定</h3>
採用活動に当たっては、採用候補者の集まりである母集団の形成が必須です。母集団形成には広告や説明会を利用しますが、利用する求人メディア・採用ツールが多いほど効果的とは限りません。
メディア・ツールによって利用者層は異なるので、ターゲットに効果的にアプローチできるものを選定することが大切です。効果が得られにくいツールを使っても無駄なコスト投下になってしまい、採用活動を圧迫します。過去の振り返りから費用対効果を検討し、ターゲットの傾向を加味してメディア・ツールを選定しましょう。
年間採用活動計画の作成
採用方針や採用基準・予算を決定し、利用するメディア・ツールを選定したら、年間採用活動計画を立てる準備が整います。過去の振り返りから分析した採用課題を加味し、変更を加えて採用スケジュールを立てましょう。
広告の掲載期間や選考期間、教育・研修期間など、時系列に沿ってスケジュールを立てます。全体スケジュールをチェックシート化し、各項目の達成度や課題を可視化することもポイントです。このチェックシートは毎年データとして蓄積できるので、今後の振り返りに利用できます。
まとめ
採用計画を立て、計画に沿って進めることが採用活動において重要です。自社の状況や市場のトレンドなど、さまざまな要素を考えながら、適切な採用計画を策定しましょう。
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