採用活動において「PR」が注目されています。
応募数が集まらなかったり、自社を知ってもらう機会が少なかったりするなど、採用に課題を感じている担当者は少なくありません。良い人材を確保するために、多くの企業が採用活動に工夫を凝らしています。
そんな中だからこそ、「採用広報(PR)」の重要性が高まりつつあります。少しでも就活生の目にとまるよう、情報発信に力を入れる必要があるためです。採用広報によって、適切な人材を確保できる可能性が高まります。
この記事では、自社の情報を効果的に発信する方法を紹介します。新たに採用広報を行う企業や担当者の方はチェックしてみてください。
目次
採用広報(PR)とは
「採用広報」とは、採用活動を成功させる目的で自社の情報を発信することを指します。
基本的な募集要項や求人情報だけでなく、仕事内容や社内の雰囲気、ビジョンやミッションなどを発信し、就活生に興味を持ってもらうために働きかけます。
ターゲットに向けて宣伝するという意味では、一種のマーケティング活動ともいえます。採用サイトやSNS、パンフレットや各種採用イベントなどを通じて、就活生に自社をPRしていくのが役割です。
新卒採用だけでなく、中途採用を行う上でも有効です。
採用広報が注目される理由
採用広報が注目されている背景には、以下の理由が挙げられます。
・売り手市場が続いている
リクルートの調査によると、2023年卒の大卒求人倍率は1.58倍という結果になりました。新型コロナウイルスの影響により、2021年卒は1.50倍という結果になりましたが、現在では回復傾向にあります。
新卒採用においては売り手市場の状況が続いています。優秀な学生には多くの企業からのオファーが殺到するため、少しでも自社に興味を持ってもらうように働きかける必要があります。
・採用チャネルが多様化している
従来の新卒採用では、就活サイトに求人を掲載するのが一般的でした。しかし、昨今では求人サイトだけでなく、自社の採用サイトやダイレクトリクルーティングサービス、Twitter・Instagram・YouTubeなどの各種SNSなど、採用チャネルが多様化しています。
採用チャネルに応じた情報発信やアプローチが求められるため、より採用広報の働きが重要になっています。
採用広報によって生まれる効果
採用広報を行うことで、企業が抱えている課題の解決に役立ちます。たとえば、以下のような効果が期待できます。
採用コストの軽減
採用広報は、採用コストをおさえる効果が期待できます。SNSやブログなど、無料で使えるツールが多くあるためです。求人サイトと比較して、掲載にかかる費用が発生しません。
また近年では、求人サイトを介さず学生に直接スカウトをかける「ダイレクトリクルーティング」が注目されています。不特定多数にアプローチするよりも、コストがおさえられたり、効率的に人材を確保できたりする可能性があります。
ミスマッチの防止
採用広報では、多くの企業にとって悩みのタネである「入社後のミスマッチ防止」にもつながります。
企業と新入社員のミスマッチが生まれる原因の一つは、自社に対する情報不足です。理解度が足りないまま入社してしまうと、「想像と違った」と思われてしまう恐れがあります。仕事内容や社風、社員の雰囲気など、入社前にきちんと自社の情報が伝わっていれば、ミスマッチが生まれにくくなります。
だからこそ、採用広報を通じて情報を積極的に発信する必要があるのです。
企業の認知度向上
採用広報によるPRは、企業PRにもつながります。採用広報によって、自社を知ってもらう機会が増加します。
BtoBの企業や中小企業など、学生の認知度が低い場合、採用広報はとくに効果があります。
また、SNSは拡散されやすいというメリットがあります。SNSを活用し、自社の優良な情報やコンテンツを発信できれば、多くの学生に届く確率が高まります。
採用広報を成功させるポイント
採用広報を行う際、いくつかのポイントをおさえる必要があります。採用広報を成功させるためのポイントを解説します。
適切な採用チャネルを選択する
情報発信する上で、どの採用チャネルを使うかは重要なポイントです。ターゲットや発信したい情報などによって使い分けることが大切です。
・SNS(Facebook、Twitter、Instagramなど)
・YouTube
・採用サイト
・ブログ、オウンドメディア
たとえばSNSでは、リアルな情報を端的に伝えることが重要です。SNSの場合、作り込まれた情報よりもリアルな情報が好まれる傾向にあります。業務中の一コマや社内のちょっとした出来事など、リアルタイムで発信することで、自社に親しみを持ってもらいやすくなります。
一方、採用サイトやオウンドメディア、ブログなどの場合、比較的リッチなコンテンツが好まれる場合が多いです。インタビューや仕事紹介、1日のスケジュールなど、写真やテキストを通じて情報を届けることが大切です。
また、写真やテキストでは伝わらない内容は動画にするのがおすすめです。YouTubeにアップするほか、短い動画ならばSNSに載せるのも有効でしょう。採用チャネルを選択するとともに、伝えたい情報にあわせてコンテンツを作成するのが肝心です。
採用イベントを実施する
オンラインの情報発信に加えて、採用イベントもあわせて行うと良いでしょう。
オンラインでは、多くの学生にアプローチできるメリットがあります。一方、なかなか自社の魅力が伝わらなかったり、多くのコンテンツに流されてしまったりする可能性があります。
会社説明会や交流会など、採用イベントを実施することで学生に情報が届きやすくなります。また、学生と企業側が直接話したりできる点も重要です。
オフライン上だけでなく、オンラインで開催する場合でも効果があります。大型のイベントに参加したり、自社で開催したりするなど、目的に応じて使い分けると良いでしょう。
社員に協力してもらう
意外と見落としがちなのが、社員に協力してもらう体制を作ることです。採用広報を行う際、他の社員の協力が欠かせません。
社内の情報を発信するために、撮影に協力してもらったり、インタビューを行ったりするなど、現場で働く社員を巻き込む必要があります。
普段から社員とコミュニケーションをしっかりとるほか、採用広報の意義を周知するのもポイントです。採用広報を通じて、どのようなメリットがあるか理解してもらえば、全社的に取り組むことができるようになるからです。
リアルな情報を伝えることで、「入社後のミスマッチが起きにくい」「自社に合った人材が確保できる」など現場目線の利点を説明するようにしましょう。
採用広報を行う際の注意点
採用広報を行う場合、注意しなければいけないポイントもあります。やみくもに情報発信していると、思わぬトラブルを引き落としたり、炎上してしまったりする恐れも。
一貫性のある情報を発信する
SNSや採用サイト、イベントなど、さまざまな手段で情報を発信していきます。チャネルごとに内容が異なったり、企業のイメージがバラバラだと受け止められたりしないように注意しましょう。一貫性のある情報を心がけ、思わぬ混乱や不信感を抱かれないようにするのが大切です。
一貫性を持たせることで「この企業といえば○○というイメージ」というブランディングの確立にもつながります。
現実とギャップが生まれないようにする
学生から良い印象を持ってもらおうとするあまり、現実と違った情報を発信してしまうケースがあります。
たとえば、通常のキャリアパスとは異なった内容を紹介したり、入社後に行える業務とは違うものを紹介したりする企業も存在します。その結果、入社後にギャップを感じてしまい、早期退職を引き起こしてしまいかねません。
魅力的なポイントを伝えるのは重要ですが、過剰になっていないか、リアルな情報であるかどうかを必ずチェックするようにしましょう。
採用広報を成功させた動画事例
採用広報は、さまざまなアプローチから自社の情報を発信していきます。記事コンテンツをアップするだけでなく、動画を用いて情報発信を行うケースも増えています。ここからは、採用広報の目的で作られた動画の事例を紹介します。
大和リース/建築・リース
施設の建築やリースをはじめ、多岐にわたる事業を展開する大和リースでは、会社紹介の動画を作成しています。社名から「リース会社」と思われることが多い一方、リース以外の事業も幅広く行っているため、自社の事業を知ってもらうことが採用活動において課題だったといいます。
動画を通じて、テキストだけでは伝わらない事業内容を効果的に紹介した好例といえます。
INEST/通信
幅広い営業支援サービスを提供しているINESTでは、直接訪問が難しい学生に向けてオフィスツアーの動画を公開しています。実際に見学したかのように、社内の雰囲気を知ってもらうための工夫が施されています。
新型コロナウイルスの影響により、オンラインの説明会や選考が増えている中で有効な内容でしょう。
アイジーコンサルティング/不動産
アイジーコンサルティングは、新築設計・施工、不動産仲介及び売買、総合リフォーム事業、耐震補強事業、住宅メンテナンス事業など、総合的な観点から住環境づくりを行う企業です。
動画では入社の決め手や仕事のやりがいなどについて、社員にインタビューを行っています。企業の魅力だけでなく、社員の雰囲気が伝わることで、学生に入社後のイメージを抱いてもらいやすくなります。
まとめ
採用広報は、企業側から積極的に自社をPRしていくやり方です。比較的コストをかけずに始められるため、気軽に採用広報を行う企業もありますが、きちんとポイントをおさえることが成功の近道です。採用チャネルを使い分け、適切な情報発信を心がけましょう。
関連記事
この記事をシェアする