広告費全体の約2割を占める規模となったインターネット広告。なかでも動画を用いた広告の普及は顕著です。
動画広告の出稿先は、YouTubeのような動画コンテンツを提供するサービスが中心となってきていますが、近年注目を集めているのが「プレロール広告」と呼ばれるものです。
目次
プレロール広告とは
プレロール広告とは、動画配信サイトなどでコンテンツの再生開始前に流されるもののことをいい、動画広告の形式としては現在の主流といっていいポジションを得ています。
プレロール広告の種類
プレロール広告にはいくつかの種類があります。「スキッパブル広告」「完全視聴型広告」「バンパー広告」の3つです。
スキップができる「スキッパブル広告」
動画広告が再生されて一定の時間が過ぎると、視聴者の意思でスキップすることができるのが「スキッパブル広告」です。5秒程度視聴すると、スキップが可能になるものが多く見られます。
スキップができない「完全視聴型広告」
一方、視聴者がスキップすることができず、動画広告を最後まで視聴しなければコンテンツが始まらないのが「完全視聴型広告」です。スキップできないことを考慮し、短めの時間でつくられることが多い広告です。
6秒以下でユーザーにリーチする「バンパー広告」
スキップできない「完全視聴型広告」から派生した動画広告に、「バンパー広告」と呼ばれるものがあります。
完全視聴型よりもさらに短い6秒以下の長さで制作しており、視聴者の負担を小さく抑えることができるとされています。
プレロール広告のメリット
動画広告のスタンダードとなり、多くを占めるようになりつつあるプレロール広告には、以下のメリットがあります。
ユーザーを絞ることができる
おもな出稿先となる動画配信サイトでは、コンテンツごとに視聴者の属性(年齢、地域、性別、好み、どんなキーワード検索から来訪したか)などが分析されているため、ターゲットを細かく絞り込んで商品やサービスを訴求することができます。
広告が5秒間流れる
スキップができない完全視聴型であれば全編を、スキッパブルでも5秒は動画広告を見てもらうことができるという点も大きなメリットです。
また、ユーザーにとっては観たくない広告であっても15秒を必ず視聴させれるよりも、5秒でスキップできるので、ブランドなどに対しての好意度を低下させるのを防ぐことができます。
コストを削減できる
前述のターゲットを絞った広告出稿を行えることは、コストを減らす上で大きな効果があります。
また、スキッパブル広告がスキップされたときや、完全視聴型広告の再生を中断しコンテンツの視聴をとりやめたときは広告費用が発生しません。費用を抑えながらも動画広告の一部が視聴者の目に触れる機会が得られるため、コスト面で有利に訴求を図れます。
スキップができる動画広告の効果
動画広告の出稿を検討する際、スキップ可能な動画広告がスキップされたときにも広告効果があるのかどうか、その影響度は気になるところだと思います。
スキップの割合と原因
スキッパブルなプレロール広告はどの程度スキップされていて、その原因はどこにあるのでしょうか?
ある米国の広告会社による調査では、全体の65%がスキップされていたという調査結果が出ています。
また、スキップした理由については、「習慣的に」という答えの割合が70%以上と多くを占めていますが、それ以外の理由からはより詳しい視聴者の動画広告に対する感情を見てとることができます。
- ・「自分とは関係の薄い広告だった」(14%)
- ・「広告が長かった」(3%)
- ・「広告が楽しいものではなかった」(3%)
- ・「広告で紹介されているブランドが好きではなかった」(3%)
習慣的にスキップを行わず、動画の内容や興味深さでスキップするかどうかを決めている人も一部に見られます。
スキップされた動画広告の効果
スキップされた動画広告には広告的な効果は一切ないのでしょうか? 調査によるとそうともいいきれないという結果が出ています。
視聴したいと思ったコンテンツへの関心が、事前に流れるプレロールされた動画広告への集中度も高めているとみられており、たとえ動画広告をスキップしたとしても、わずかな時間の商品やサービスとの接触で、購入の意思や親近感は高まる傾向にあるようです。
参照:メディア試験レポート:MAGNAおよびIPGメディアラボのターボチャージスキップ可能なプレロールキャンペーン-IPGメディアラボ
プレロール広告制作時のポイント
プレロール広告、なかでもスキッパブル広告について、その特性をお伝えしてきましたが、実際に制作するにあたってのポイントはどのようなところにあるのでしょうか?
ターゲティングを設定する
スキッパブル広告をスキップする理由として一定の割合を占めていた「自分とは関係の薄い広告だった」という回答を考えると、プレロール広告の制作では適切なターゲティングを行い、それに沿った動画広告をつくり、できるだけスキップせずに動画広告を再生してもらえるよう努めることは極めて重要です。
スキップを前提としたコンテンツの作成
同時に、スキップされることも織り込み、スキップされるまでの5秒間でインパクトをいかに残すかという視点も重要です。あえて違和感を与えるような演出やスピード感のあるストーリー展開を持ち込んだり、視聴者に自分と関わりのある動画広告であると認知させるようなキーワードを冒頭に持ってきたりとさまざまな手法があります。
ユーザーにストレスを感じさせないコンテンツの作成
視聴したい動画の前に再生されるものという特性上、プレロール広告はユーザーのストレスを生むものだという認識は必要です。長過ぎるものや違和感を与えることに重きを置きすぎたものなどは、訴求においてネガティブな印象をもたらすと考えるべきで、注意が必要です。
動画制作ツールを使い、広告の質を上げる
身近さを印象づけたり、短い時間でインパクトを残したりする演出が求められるプレロール広告制作では、動画編集に際してのこだわりが効果を左右します。
そのためには、よりよい動画制作ツールを選び制作を行うことも重要になってきます。
まとめ
動画広告で主流となりつつあるプレロール広告には、スキップできるものとそうでないものがあり、その特徴をよく理解し、スキップされるまでの短時間の訴求における工夫で、商品やサービスのブランドイメージを高めることもできます。またメリットとして、ターゲットを細かく絞りこむことができるだけでなく、費用を抑えながらの運用も可能です。
「視聴者に身近さを感じさせる」、「開始5秒でインパクトを残す」、そうした動画をいかにつくるかが効果的なプレロール広告制作のカギとなってきます。動画編集ツールなどを利用して、視聴者に購買行動を促す動画の制作を始めてみましょう。
関連記事
この記事をシェアする