アンビエント広告は日常生活の隙間に入り込むような、広告らしからぬユニークさが特徴です。
この広告戦略が成功すれば、費用対効果がとても高くなるでしょう。
この記事ではアンビエント広告とは何か、広告方法として取り入れるメリットを紹介しています。
実際の成功事例や活用ポイント、注意点なども紹介するので、マーケティングや広告制作に役立ててください。
目次
そもそもアンビエント広告とは何?
アンビエント(ambient)は「周辺の」「環境の」といった意味の単語で、アンビエント広告は「環境や周囲になじんでいる広告」という意味で使われています。
例えば、「公園の一見アンティークな木製ベンチが、実はお菓子メーカーのチョコレートの広告」などの事例は、アンビエント広告の一例です。
しかし、さりげない広告がアンビエント広告なのかというと、そうではありません。
街の中に突然現れる巨大なゴジラの頭部のように、周囲の環境を利用しながら強烈なインパクトと違和感を狙うのもアンビエント広告の一つです。
また、一見すると何の商品の宣伝なの分からないCMの終盤で「そうゆうことか」と印象を残すタイプの広告も、アンビエント広告に分類されることもあります。
つまり、広義の意味では「広告らしくない広告」ともいえるのです。
アンビエント広告を活用するメリットとは
ここでは、アンビエント広告を活用するメリットを紹介します。
印象に残りやすい
アンビエント広告の大きな特徴は、ユーモアやいたずら、遊び心などが含まれていることが多いといえます。
そのため広告は受け入れられやすく、また、笑いや驚きなども提供できます。
加えて、センスやアイデアを認めてもらえると、ユーザーに自社のファンになってもらえるかもしれません。
普通の広告では得にくい、一粒で3度おいしいメリットが、アンビエント広告にはあります。
自社の枠にとらわれない広告が作れる
企業活動を続けていくと、自社の商品・サービスのブランディングが確立し、広告にもパターンやカラー、お決まりのキャッチコピーなどが定着します。
ユーザーに覚えてもらうのには最適なアプローチ方法ですが、広告のイメージチェンジや売上向上の起爆剤にしたいケースなどでは、逆に足かせになってしまうことがあります。
アンビエント広告では自由な発想、奇抜なアイデアなどを採用できるため、自社の枠にとらわれない広告をつくれます。
「バズる」を狙った広告制作が可能
インターネットやSNS普及と共に消費者と広告主の関係は大きく変わり、消費者自らが商品・サービスの情報を発信するようになりました。「拡散」「バズる」といった現象が起き、広告成果が急激に増殖することがあります。
アンビエント広告を使うことで、戦略的なバズバスマーケティングが可能になります。
ユニークで心に響くクリエイティブを制作するのは簡単ではありませんが、成功事例も多いため、広告手法の一つとして検討する価値は十分にあるでしょう。
近年では訴求力が高い動画制作も手軽になったため、拡散性の高い広告を低コストで比較的簡単に作れます。
アンビエント広告の事例4選
ここでは、国内や海外のアンビエント広告の事例を紹介します。
LG
LGは自社の液晶ディスプレイがいかに高画質なのかを、エレベータでのいたずらを通しアピールしました。
エレベータの底に設置したディスプレイ画像で床が抜けるように見えるという仕掛けです。
YouTubeにおいては4900万回以上視聴され、高い宣伝効果となりました。
フォルクスワーゲン
フォルクスワーゲンは、携帯電話を使いながらの自動車運転の危険を映画館で訴えました。
初めは運転者目線で撮影された予告映像のように見えますが、メールを確認しようとした瞬間、突然のブレーキ音とフロントガラスのクラッシュで観客にショックを与えます。
映画館ならではの映像・音響設備を有効活用した画期的なプロモーションとして話題になりました。
Uber(ウーバー)
日本でも街でよく見かけるようになった「Uber(ウーバー)」は、スイスでは配車サービスも行っています。
動画に登場するのはレゴで作ったような一見おもちゃの車です。
クリスマスシーズンに合わせ、抽選で当たった子どもがトイカーに乗れるキャンペーンを展開しました。
運賃の一部を恵まれない子どもに寄付していることも、さりげなくアピールしています。
GUCCI
GUCCIは自己実現の大切さやジェンダーの平等をアピールするメッセージ性の高いアンビエント広告を、壁面広告やInstagramなどで展開しました。
購買への直接的な訴求力はありませんが、好ましい感情を抱いた人も多くいるでしょう。
アンビエント広告の活用ポイント
ここでは、効果的にアンビエント広告を活用するポイントを紹介します。
動画を活用する
最も手軽で効果的なアンビエント広告の方法が、YouTubeやInstagramなどのSNSやWebを活用した動画配信です。動画で視覚的にインパクトを与える事ができれば拡散され、大きな話題となるケースもめずらしくありません。
また、テレビCMなどと異なり、何度も再生できるのがSNS広告やWeb広告の特徴です。
そのため、思わず何度も視聴したくなるような違和感や驚きを与える動画を作成するのもポイントです。
ウェブサイトへの誘導も考える
アンビエント広告では、抽象的な内容や直接的な購買訴求がない場合が多いです。
しかし、企業広告では、やはり集客への受け皿もある程度考える必要があります。
視聴者の好感を得ていたり心がほぐれたりしていることが多いため、キャンペーン参加を訴えかけたり、自社サイトに誘導したりしましょう。
シェアされることを前提でクリエイティブをつくる
街のベンチやビルの壁面などを使ったアンビエント広告では、スマートフォンで撮影しSNSでシェアされることを狙って作ります。
動画制作においても、このことは変わりません。インパクトのある絵面や人に紹介したくなるストーリーなどがあると、拡散されやすくなります。
アンビエント広告の注意点
アンビエント広告を活用する際には注意点もあります。
通常の広告に比べてリスクが高い
アンビエント広告は特殊な広告であり、奇抜なアイデアやユニークなストーリー展開などが求められます。
そのため、視聴者側と少しピントがずれてしまうと、アンビエント広告が黙殺されてしまう場合もあります。
不快感を持たれてしまい炎上するリスクもゼロではありません。
広告の費用対効果やクリック率などの予測がしにくいのもデメリットといえるでしょう。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」になりやすい
アンビエント広告は直接的な購買につながらないこともよくあります。
ユーザーに何となくブランドを好きになってもらいたい場合や、社会貢献をしている会社であると間接的に伝えたいときなどに使われる広告手法です。
こうした効果と集客・売上向上などの成果を両立させようとすると、失敗する可能性が高くなります。
広告の目的や方向性を決めた上でビデオを制作しましょう。
まとめ
アンビエント広告は広告制作の難易度が高く、マーケティングしにくい面があります。
しかし、印象に残りやすく話題になりSNSで拡散が起きることで、予想以上の広告効果につながる場合があります。
アンビエント広告といえば、広告資金が豊富な大企業が活用するものとイメージする人がいるかもしれません。
しかし、YouTubeやTwitterなどを活用することで手軽に動画を配信できます。
ユニークで個性たっぷりの動画広告を作り、ユーザーの心をつかみましょう。
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