人的資本経営を行うための最適な人材育成法は?企業の課題を解説

人材育成は、企業価値を向上させるために重要な要素の一つです。従業員を育成するために、OJTを行ったり、さまざまな研修を実施したりしている企業がほとんどではないでしょうか。

しかし、なかなか成果が出ないケースも少なくないもの。「どのような取り組みを行えば効果的なのか」と悩む人事担当者も多いかもしれません。

さらに、対外的にも自社の育成内容について開示する動きが始まっています。2023年3月期決算より、対象企業は「人的資本の情報開示」が義務化されます。自社の育成内容について社外に公開する動きが強まっており、企業には積極的な人材育成が求められています。

本記事では、人材育成を行う目的や課題をふまえ、具体的な育成法について解説します。あわせて、人的資本経営の実現に向けた人材育成の方針を紹介します。

企業が人材育成を行う目的

人材育成とは、企業が成果を上げるために、従業員に必要なスキルを習得させることを指します。育成を通じて従業員の能力やパフォーマンスを高めることによって、自社に貢献できる人材を生み出すことが目的です。

人材育成における4つの課題

企業が人材育成において抱えている主な課題は、以下の通りです。

人材育成のコストを確保できない

基本的に、人材育成のプログラムは、中長期的に取り組むものです。そのため、すぐに成果が出るわけではありません。企業は人材育成の重要性を理解している一方、時間や費用などのコストを割きにくいと感じる場合も多いでしょう。その結果、人材育成に注力できてないケースは少なくありません。

人材育成のコストを削減するには、動画制作が一つの解決法です。マニュアルや各種育成プログラムなどを動画化することにより、育成コストを削減できます。

たとえば、対面で集合研修を実施する場合、講師や参加者の日程調整をしたり、会場費や交通費、宿泊費などの費用が発生したりします。動画として配信すれば、遠方にいる社員が集合するコストがかかりません。

また、一度コンテンツを制作してしまえば、繰り返し視聴できます。

指導能力や育成スキルが不足している

人材育成は、属人化しやすい要素の一つです。育成を担当する社員の指導能力や指導意識が大きく影響します。

必ずしも、社内で成果を上げている社員が人材育成に必要なマネジメント能力を持っているわけではありません。育成のプログラムを最適な人材に任せられるかどうかも、ポイントの一つになります。
また、育成を行うには指導する側の負荷が発生します。指導側の意欲を保てるかどうかも、人材育成において悩ましい問題です。

そこで、できるだけ指導の負荷を減らすことが重要です。指導を担当する社員に任せきりにするのではなく、社内で人材育成の体制を構築できるように工夫しましょう。

人材育成を受ける従業員の意欲が低い

優れた人材育成プログラムを用意していても、受講する従業員の意欲が低ければ、成果は得られません。そこで、受講者のモチベーションを高める対策が必要です。

たとえば、研修によって得られる成果をきちんと伝えたり、先輩社員が真摯に取り組む姿を見せたりすることも有効でしょう。

社内で人材育成を行う雰囲気がない

全社的に人材育成を進めるには、社内の協力や理解が必要不可欠です。経営層が本格的に推進へと動き出しても、現場の社員に人材育成の重要性が浸透していなければ、うまく広まりません。

そこで、人材育成を行う目標やKPI設定が重要です。「スキルの保有率」「生産性の向上」「離職率の低下」など、明確な目的を設定することにより、社内で目的を共有しやすくなります。また、設定した目標に対する効果検証が行えるため、きちんと成果につながれば、より社内の理解度や意欲を高められます。

参考:働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について

人的資本経営を行うには「育成」が重要

昨今、「人的資本経営」という言葉が注目を集めているのをご存知でしょうか。

現在、人的資本経営へとシフトする動きが加速しています。その観点からいっても、企業が人材育成に力を入れることは不可欠です。

人的資本経営において育成が必要な理由を解説します。

人的資本経営とは

「人的資本」とは、人材が持つ知識や技能、資質などを「資本」として捉えた用語です。一方、「人的資本経営」とは、人的資本の価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値向上につなげる経営手法を指します。つまり、企業は人的資本経営を行うことによって、自社の価値を高められます。

現在、企業側に対して、人的資本の情報開示を求める動きが強まっています。たとえば、「人材投資額」や「社員満足度」といった人的資本にまつわる情報が求められています。

投資家やステークホルダーは、企業の将来性を判断する材料がほしいものです。自社の人材に対してきちんと投資を行っていたら、「持続性が高い企業」とみなされ、企業価値が高いと判断される可能性が高まります。

「人的資本経営」と「人材育成」の関係

人的資本経営は、人材の価値を最大化するために行われます。人材の価値を高めるためには、人材育成は欠かせません。

すなわち、人的資本経営にシフトすることは、人材育成に注力することと同義ともいえるでしょう。

2023年、人的資本の情報開示が義務化される

2023年の3月以降、一部の企業では人的資本の情報開示を必ず行うよう、義務化が決定されています。

<対象企業>
金融商品取引法第24条の「有価証券を発行している企業」が対象となる見込みです。大手企業を中心に、4,000社ほど該当します。対象企業は、事業年度終了後の3か月以内に、有価証券報告書で必要な項目を記載しなければなりません。

<記載すべき情報>
提出する有価証券報告書の中に、「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」の3つについて、開示する義務が生じます。

ただし、現在義務化された項目だけでなく、今後はさらに多くの情報開示が求められると予想されます。また、さらに多くの企業に義務化が進められる可能性も高いでしょう。

人材育成はもちろん、人的資本にまつわる内容に対し、より注力して取り組む必要があると言えます。

人的資本の情報開示において、開示すべき内容

内閣官房では、人的資本の分野において情報開示が望ましい内容を提示しています。全部で19項目あり、以下の7分野に分類できます。

<情報開示が推奨される7分野>

・育成
・エンゲージメント
・流動性
・ダイバーシティ
・健康、安全
・労働慣行
・コンプライアンス、倫理

各項目は、企業価値を向上させたり、リスクマネジメントを推進したりするために大切な要素です。その中でも、特に重要なのが「育成」分野です。なぜなら、人的資本経営は中長期的な企業価値の向上につなげることが目的だからです。

また、後継者計画を策定して推進すると、社内エンゲージメントの向上など、他の項目にも良い影響をもたらします。

育成分野における開示情報の例

では、具体的にどのような情報を開示すれば良いのでしょうか。内閣官房が公表した「人的資本可視化指針」では、以下の項目が具体例として挙げられています。

<人材育成に関連する開示事項例>
・研修時間
・研修費用
・研修参加率
・複数分野の研修受講率
・パフォーマンスやキャリア開発において、定期的にレビューを受けている社員の割合
・研修と人材開発の効果について
・人材確保や定着のために行っている取り組みの説明
・スキル向上などプログラムの種類や対象について

育成を行うために、研修は必要不可欠です。研修にかかる時間や費用はもちろん、実際の参加率や成果などについて開示することが推奨されています。

また、独自で行っているプログラムや取り組みがあれば、大きく打ち出すことをおすすめします。他社との差別化につながり、自社の評価が高まる期待が持てます。

参照:人的資本可視化指針

人材育成に力を入れた企業事例

ここからは、実際に人材育成に力を入れ、人的資本の情報開示を行っている企業の事例を紹介します。

丸井グループ

丸井グループでは、企業価値を作る上で、「社員が最大の源泉である」としています。社員が持つ価値観の尊重はもちろん、一人ひとりがイキイキと成長し続けられる組織風土の醸成を目指すために、積極的な人材育成と採用の投資を実施しています。

同社では、さまざまな制度やプロジェクトを実施していますが、人材育成として以下の取り組みを開示しています。

丸井グループがめざす未来を動画でも紹介している

(1)次世代経営者育成プログラムの実施
丸井グループでは、公募制で行う「次世代経営者育成プログラム」が存在します。参加者は1年間のプログラムを終了したのち、協業先への出向や戦略・企画部門に配置されます。異動を通じて、新規事業に対する視野を養い、個人の裁量で意思決定を多く経験してもらうことで、次世代リーダーとなる人材を輩出する狙いです。

(2)マネジメント体制の構築
制定された「丸井グループ人材開発方針」に基づいて、人材開発のマネジメントを強化する体制を構築しています。
具体的には、取締役会・経営会議で、自社の取り組みを適宜レビューし、業務プロセスに反映しています。また、人事制度の改定や組織改編を行う場合、主管部署をはじめ、事業会社やマルイグループユニオンが連携し、取り組み内容や適正かどうかについてチェックします。

参照:丸井グループ/新たな成長に向けた「人材への投資」

人材育成を推進するには、コミュニケーションの最適化が不可欠

人材育成を行う上で、社内のコミュニケーションが何よりも重要です。育成される側と指導側のやり取りはもちろん、企業と従業員のコミュニケーションが大きな意味を持ちます。

しかし、リモートワークの普及など、企業の中で多様な働き方が増えている現在、直接的なコミュニケーションを取りにくいのが現状です。そこで、コミュニケーションのDX化を図ることが重要になります。

コミュニケーションDXによって必要なコンテンツを動画化することで、以下のようなメリットがあります。

研修コストを削減できる

集合研修を実施する場合、会場や講師を手配し、日程調整するなど、事前準備にコストがかかります。研修内容を動画コンテンツとして制作しておけば、育成する人材が出てくるたびに研修を実施する必要がなくなります。

対象の従業員に対して、スムーズに共有できる

オンラインなら、育成に必要なコンテンツをスムーズに配信できます。一度共有すれば、場所や時間に制限されず、受講する従業員も自由なタイミングで視聴できます。

配信したコンテンツを簡単に管理できる

学習管理システムが搭載されているツールを導入している場合、受講者の進捗を管理できます。受講者の理解度を把握でき、配信したコンテンツがきちんと届いてるかを確認することが可能です。配信した結果を分析しやすいので、分析結果に基づいてコンテンツをブラッシュアップし、コンテンツの質を高められます。

つまり、人的資本経営を行うには、育成に必要なコンテンツを制作し、定期的に分析しながら、配信基盤を構築することが重要です。

「Video BRAIN」なら、育成コンテンツの制作から配信まで可能

人材育成に必要なコンテンツ制作を行うなら、ビジネス編集クラウドの「Video BRAIN」がおすすめです。

Video BRAINは、誰でも簡単に動画が制作できるツールです。動画制作から配信、コンテンツの管理、従業員の閲覧状況やToDoの進捗管理まで、一貫して行えます。


<Video BRAINの特長>

(1)パワポ感覚の操作性。短時間で簡単に動画を制作

3,500以上の動画テンプレートに加え、商用フリー素材を多数搭載。
画像や動画、イラストなど、テキストや素材を入れ込むだけで動画が完成します。

(2)社内のナレッジを一元管理。必要な情報にもスムーズにアクセス可能

Video BRAINに搭載されたポータル機能を使えば、社内のナレッジを一カ所に集約可能。
優れた検索機能により、必要な情報にアクセスするのもスムーズです。

(3)豊富な共有方法を搭載。視聴分析で社内の活用状況を可視化

作成した内容を共有する際には、URLリンクを発行できるほか、学習期限を設定してタスク化することも可能。目的に応じて最適な共有方法を選択できるので、社内に情報を伝達したい場面から、研修教材を配信したい場面でも役立ちます。


Video BRAINを活用し、必要な情報をスムーズに社内へ届けられるようにしましょう。

まとめ

人材育成を行う際、感覚的に進めるのではなく、きちんと具体的に目標や方法を定めることが重要です。現場に任せて属人的に行ってしまうと、自社のノウハウとして蓄積されなかったり、人によって学習できるスキルにバラつきが生まれてしまいます。

また、人的資本の情報開示に向けても、きちんと育成内容を明文化しておくことが大切です。

人的資本に関する情報は、企業価値を判断する際に重要だとされています。企業側は、自社の取り組みを積極的に発信できる機会として捉え、しっかり準備を行いましょう。


 

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